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月のため水錆すゑじと思ひしに
緑にも敷く池の浮草

歌の意味
月を映すために、水錆を浮かせまいと思っていたのに、緑一面に池を敷きつめてしまった浮草であることよ。
鑑賞
雑歌 1021

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 月を映すために、池の水に水錆を浮かせまいと思っていたのに、浮草が緑一面に池を敷きつめてしまった、と詠む。月を愛する心と、夏の池を覆う浮草とを対比させている。

 初句「月のため」は、月を映すために、の意である。
 二句「水錆すゑじと」の「水錆」は水面に浮くさびのような汚れで、「じ」は打消意志の助動詞である。
 三句「思ひしに」は、思っていたのに、の意である。
 四句「緑にも敷く」は、緑一面に敷きつめる、の意である。
 結句「池の浮草」は体言止めで、池に浮かぶ草で結ぶ。

みさび:水面に浮くさびのような汚れ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
久木生ひて涼めとなれる影なれや 波打つ岸に風渡りつつ
次の歌
思ふこと御生の注連に引く鈴の かなはずはよもならじとぞ思ふ