思ふこと御生の注連に引く鈴の
かなはずはよもならじとぞ思ふ
- 歌の意味
-
願いごとは、御阿礼の注連に引く鈴のように、かなわないならば、決して鈴も鳴るまいと思う。
- 鑑賞
-
雑歌 1022
詞書は前の歌に続き「題しらず」
御阿礼は賀茂神社の祭りに先立って神を迎える神事で、そこに張られた注連に鈴を引いて祈った。願いごとは、その鈴のように、かなわないならば決して鳴りはしないだろう、と詠み、鈴が鳴ることに願いの成就を確信する心を述べている。
初句「思ふこと」は、願いごと、の意である。
二句「御生の注連に」の「御生」は賀茂神社の神迎えの神事、「注連」は神域を示す縄である。
三句「引く鈴の」は、引いて鳴らす鈴の、の意で、ここまでが序となっている。
四句「かなはずはよも」は、かなわないならば決して、の意である。
結句「ならじとぞ思ふ」の「なら」は、鈴が鳴る意と、願いが成る意とを掛けた掛詞である。
みあれ:賀茂神社の神迎えの神事
しめ:神域を示す縄、注連縄
なる:鈴が鳴る意と、願いが成る意を掛ける
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
月のため水錆すゑじと思ひしに 緑にも敷く池の浮草
- 次の歌
-
み熊野の浜木綿生ふる浦さびて 人なみなみに年ぞ重なる