み熊野の浜木綿生ふる浦さびて
人なみなみに年ぞ重なる
- 歌の意味
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み熊野の浜木綿の生える浦は寂れて、人並みに、寄せる波のように年が重なってゆくことだ。
- 鑑賞
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雑歌 1023
詞書は前の歌に続き「題しらず」
み熊野の浜木綿の生える浦は寂れて、人並みに、寄せては返す波のように、私にも年が重なってゆく、と詠む。熊野の浦の寂しさに、老いてゆく身を重ねている。
柿本人麻呂の「み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも」を踏まえ、浜木綿の葉が幾重にも重なることを、年の重なることに転じている。
初句「み熊野の」は、紀伊国の熊野の、の意で、「み」は美称の接頭語である。
二句「浜木綿生ふる」の「浜木綿」は浜辺に生える草で、葉が幾重にも重なる。
三句「浦さびて」は、浦が寂れて、の意である。
四句「人なみなみに」の「なみなみ」は、人並みの意と、浦に寄せる波とを掛けた掛詞である。
結句「年ぞ重なる」は、係助詞「ぞ」と連体形「重なる」による係り結びで、年が重なってゆく、と結ぶ。人麻呂の歌の「百重なす」を受けている。
はまゆふ:浜辺に生える草、葉が幾重にも重なる
なみなみ:人並みの意と、波を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思ふこと御生の注連に引く鈴の かなはずはよもならじとぞ思ふ
- 次の歌
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石上古き住みかへ分け入れば 鹿の浅茅に露のこぼるる