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時雨るれば山めぐりする心かな
いつまでとのみうちしをれつつ

歌の意味
時雨が降ると、時雨とともに山々をめぐる心であることよ。いつまでこうしていられるのかとばかり思って、しおれながら。
鑑賞
雑歌 1031

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 時雨が降ると、時雨が山から山へと移ってゆくように、心も山々をめぐる、いつまでこうしていられるのかとばかり思ってしおれながら、と詠む。時雨に濡れてしおれるさまに、命の限りを思う心を重ねている。

 初句「時雨るれば」は、時雨が降ると、の意である。
 二句「山めぐりする」の「山めぐり」は、時雨が山から山へと移りながら降ることで、本巻の第七百八十八首にも見える語である。
 三句「心かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
 四句「いつまでとのみ」は、いつまでかとばかり、の意である。
 結句「うちしをれつつ」は、しおれながら、の意で、時雨に濡れることと心のしおれることとを重ねている。

しぐる:時雨が降る
やまめぐり:時雨が山から山へと移りながら降ること
作者
西行
出典
山家集
前の歌
古里は見し世にも似ずあせにけり いづち昔の人行きにけん
次の歌
はらはらと落つる涙ぞあはれなる たまらずものの悲しかるべし