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はらはらと落つる涙ぞあはれなる
たまらずものの悲しかるべし

歌の意味
はらはらとこぼれ落ちる涙がしみじみと哀れである。こらえきれずに、きっと物悲しいのであろう。
鑑賞
雑歌 1032

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 はらはらとこぼれ落ちる涙がしみじみと哀れである、こらえきれずに物悲しいのであろう、と詠む。涙を玉にたとえる伝統を踏まえ、玉がたまらずにこぼれ落ちるように、悲しみを抑えきれない心を述べている。

 初句「はらはらと」は、涙がしきりにこぼれ落ちるさまを表す。
 二句「落つる涙ぞ」は、こぼれ落ちる涙が、の意で、「ぞ」は係助詞で、三句の「なる」と係り結びをなしている。
 三句「あはれなる」は、しみじみと哀れである、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「たまらずものの」の「たまらず」は、涙の玉がとどまらない意と、こらえきれない意の「堪らず」とを掛けた掛詞である。
 結句「悲しかるべし」の「べし」は推量の助動詞で、悲しいのであろう、と結ぶ。

たまらず:涙の玉がとどまらない意と、こらえきれない意を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
時雨るれば山めぐりする心かな いつまでとのみうちしをれつつ
次の歌
何となく芹と聞くこそあはれなれ 摘みけん人の心知られて