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何となく芹と聞くこそあはれなれ
摘みけん人の心知られて

歌の意味
何ということもなく、芹と聞くとしみじみと哀れである。芹を摘んだという人の心が思い知られて。
鑑賞
雑歌 1033

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 何ということもなく、芹と聞くとしみじみと哀れである、芹を摘んだという人の心が思い知られて、と詠む。宮中の后の姿を垣間見て恋した身分の低い男が、后が芹を食べていたのを見て、芹を摘んでは届けたものの、思いはかなわなかったという「芹摘む」の故事を踏まえ、かなわぬ思いを抱いた人の心をしのんでいる。

 初句「何となく」は、何ということもなく、の意である。
 二句「芹と聞くこそ」は、芹と聞くのが、の意で、「こそ」は係助詞で、三句の「なれ」と係り結びをなしている。
 三句「あはれなれ」は、しみじみと哀れである、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「摘みけん人の」は、芹を摘んだという人の、の意で、「けん」は過去の伝聞を表す。
 結句「心知られて」は、心が思い知られて、と倒置によって三句の理由を示して結ぶ。

せりつむ:かなわぬ恋に心を尽くすことのたとえ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
はらはらと落つる涙ぞあはれなる たまらずものの悲しかるべし
次の歌
山人よ吉野の奥のしるべせよ 花も尋ねんまた思ひあり