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わび人の涙に似たる桜かな
風身にしめばまづこぼれつつ

歌の意味
悲しみに沈む人の涙に似た桜であることよ。風が身にしみると、まっ先にこぼれ落ちて。
鑑賞
雑歌 1035

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 悲しみに沈む人の涙に似た桜である、風が身にしみると、まっ先にこぼれ落ちて、と詠む。冷たい風が身にしみると涙がこぼれるように、風に散る桜の花びらを、悲しむ人の涙に見立てている。

 初句「わび人の」は、悲しみに沈む人の、の意である。
 二句「涙に似たる」は、涙に似ている、の意である。
 三句「桜かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
 四句「風身にしめば」は、風が身にしみると、の意である。
 結句「まづこぼれつつ」は、まっ先にこぼれ落ちて、の意で、花びらの散ることと涙のこぼれることとを重ねている。

わびびと:悲しみに沈む人、つらい思いをしている人
作者
西行
出典
山家集
前の歌
山人よ吉野の奥のしるべせよ 花も尋ねんまた思ひあり
次の歌
吉野山やがて出でじと思ふ身を 花散りなばと人や待つらん