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吉野山やがて出でじと思ふ身を
花散りなばと人や待つらん

歌の意味
吉野山に入ったら、そのまま出るまいと思っているこの身を、花が散ったら帰って来るだろうと、都の人は待っているのだろうか。
鑑賞
雑歌 1036

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 吉野山に入ったら、そのまま出るまいと思っている自分を、都の人は、花が散ったら帰って来るだろうと待っているのだろうか、と詠む。花の吉野に身を隠して二度と世に戻るまいという遁世の覚悟と、それを知らずに待つ人々とを対比させている。
 この歌は新古今和歌集の雑歌に収められている。

 初句「吉野山」は、大和国の桜の名所で、遁世の地でもある。
 二句「やがて出でじと」の「やがて」は、そのまま、の意で、「じ」は打消意志の助動詞である。
 三句「思ふ身を」は、思っている身を、の意である。
 四句「花散りなばと」は、花が散ったならば帰るだろうと、の意である。
 結句「人や待つらん」の「や」は疑問の係助詞で、「らん」と係り結びをなし、人は待っているのだろうか、と結ぶ。

やがて:そのまま、すぐに
作者
西行
出典
山家集
前の歌
わび人の涙に似たる桜かな 風身にしめばまづこぼれつつ
次の歌
人も来ず心も散らで山陰は 花を見るにもたよりありけり