古典和歌stream

人も来ず心も散らで山陰は
花を見るにもたよりありけり

歌の意味
人も来ず、心も散ることがないので、山陰の住まいは、花を見るのにも都合がよいのであった。
鑑賞
雑歌 1037

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 山陰の住まいは、人も訪れず、心も散ることがないので、花を見るのにも都合がよいのであった、と詠む。人の訪れのない寂しさを、かえって心静かに花を見ることができる利点ととらえている。前歌の吉野山の花と遁世とを受けている。

 初句「人も来ず」は、人も訪れない、の意である。
 二句「心も散らで」は、心も散ることがなく、の意で、「散る」は花の縁語である。
 三句「山陰は」は、山陰の住まいは、の意である。
 四句「花を見るにも」は、花を見るのにも、の意である。
 結句「たよりありけり」の「たより」は、都合のよいこと、の意で、「けり」の詠嘆で結ぶ。

やまかげ:山の陰
たより:都合のよいこと、よい機会
作者
西行
出典
山家集
前の歌
吉野山やがて出でじと思ふ身を 花散りなばと人や待つらん
次の歌
風の音に物思ふ我が色染めて 身にしみわたる秋の夕暮