この世にて眺められねる月なれば
迷はん闇も照らさざらめや
- 歌の意味
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この世で親しく眺めてきた月であるから、来世で迷うであろう闇も、照らさないことがあろうか、きっと照らしてくれるだろう。
- 鑑賞
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雑歌 1041
詞書は前の歌に続き「題しらず」
この世で親しく眺めてきた月であるから、来世で迷うであろう闇も、きっと照らしてくれるだろう、と詠む。前歌の来世の月を受けて、生涯愛してきた月が、死後の闇をも照らす救いの光となることを信じる心を述べている。
雑の部の巻末に置かれた一首である。巻頭の第七百十二首が、物思いに沈む心に響く鐘の音を詠んだのに対して、巻末は来世の闇を照らす月への信頼で閉じられている。物思いから始まり、無常や仏道をめぐる歌々を経て、救いの光で結ぶ構成となっている。
初句「この世にて」は、この世において、の意で、前歌の「来ん世」と対になっている。
二句「眺められねる」は、本文に「ながめられねる」とあるが、「ながめられぬる」の意に解する。親しく眺めてきた、の意である。
三句「月なれば」は、月であるから、の意である。
四句「迷はん闇も」は、来世で迷うであろう闇も、の意である。
結句「照らさざらめや」の「めや」は反語で、照らさないことがあろうか、きっと照らす、と結ぶ。
ながむ:物思いにふけりながら見る、眺める
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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来ん世にもかかる月をし見るべくは 命を惜しむ人なからまし
- 次の歌
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秋風のことに身にしむ今宵かな 月さへ澄める庭のけしきに