まぎれつる窓の嵐の声とめて
更くるを告ぐる水の音かな
- 歌の意味
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まぎれて聞こえなかった窓の嵐の音がやんで、夜が更けたことを告げる水の音であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1049
詞書「深夜水声と云ふ事を、高野にて人々よみけるに」
高野山で人々が「深夜水声」の題で詠んだ折の一首である。窓を打つ嵐の音にまぎれて聞こえなかった水音が、嵐がやむとともにはっきりと聞こえはじめ、夜が更けたことを告げている、と詠む。
音が音を消し、一方がやむと他方が現れるという聴覚の移り変わりを捉え、深夜の静けさを水音によって表現している。山中の庵で夜を過ごす西行の、研ぎ澄まされた耳の働きがうかがえる一首である。
初句「まぎれつる」は、まぎれて聞き分けられなかった、の意で、「つる」は完了の助動詞の連体形である。
二句「窓の嵐の」は、庵の窓に吹きつける山の嵐の、の意である。
三句「声とめて」は、その音がやんで、の意で、嵐の音を「声」と呼んでいる。
四句「更くるを告ぐる」は、夜が更けたことを知らせる、の意である。
結句「水の音かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、題の「水声」を受けて結ぶ。
まぎる:入り混じって区別がつかなくなる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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今だにもかかりと言ひし滝つ瀬の その折までは昔なりけん
- 次の歌
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玉みがく露ぞ枕に散りかかる 夢驚かす竹の嵐に