- 歌の意味
-
玉を磨いたような露が枕に散りかかることだ。夢を覚ます竹を吹く嵐のために。
- 鑑賞
-
雑歌 1050
詞書「竹風驚夢」
「竹風、夢を驚かす」という題の一首である。竹を吹き鳴らす嵐に夢を破られて目覚めると、竹の葉から磨いた玉のような露が枕もとに散りかかってくる、と詠む。
竹の葉の露を「玉みがく」と形容して美しく描きながら、それが夢を破った嵐によって散りかかるという、美しさと驚きとを併せた構成である。枕に散る露は、夢から覚めた者の涙をも思わせる。
初句「玉みがく」は、玉を磨いたような、の意で、露の輝きを形容している。
二句「露ぞ枕に」の「ぞ」は強意の係助詞で、結句ではなく三句の連体形「散りかかる」で結ぶ係り結びとなる。
三句「散りかかる」は「ぞ」の結びとして連体形で、三句切れとなる。
四句「夢驚かす」は、夢から覚まさせる、の意で、題の「驚夢」を詠み込んでいる。
結句「竹の嵐に」は、竹を吹く嵐によって、の意で、倒置によって露が散る原因を後から示し、題の「竹風」を受けている。
おどろかす:目を覚まさせる
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
まぎれつる窓の嵐の声とめて 更くるを告ぐる水の音かな
- 次の歌
-
峰おろす松の嵐の音にまた 響きを添ふる入相の鐘