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夕されや檜原の峰を越え行けば
すごく聞こゆる山鳩の声

歌の意味
夕暮れ時よ。檜の茂る峰を越えて行くと、ぞっとするほど寂しく聞こえてくる山鳩の声よ。
鑑賞
雑歌 1052

詞書「暮山路」
 「暮の山路」という題の一首である。夕暮れに檜の茂る峰を越えて行くと、山鳩の鳴く声がぞっとするほど寂しく聞こえてくる、と詠む。
 夕暮れの山道の寂寥を、薄暗い檜林と山鳩の声によって描いている。「すごく」は西行が好んで用いた語で、心にしみるもの寂しさ、ぞっとするような寂しさを表す。旅の途中の孤独な山越えの情景が鮮やかに浮かぶ一首である。

 初句「夕されや」の「夕され」は夕方になること、「や」は詠嘆の間投助詞で、初句切れとなる。
 二句「檜原の峰を」は、檜の生い茂った峰を、の意である。
 三句「越え行けば」は、越えて行くと、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
 四句「すごく聞こゆる」の「すごし」は、ぞっとするほどもの寂しい、の意である。
 結句「山鳩の声」は体言止めで、山中に響く鳩の声を余韻として残している。

ゆふさる:夕方になる
ひはら:檜の生い茂った所
すごし:ぞっとするほど寂しい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
峰おろす松の嵐の音にまた 響きを添ふる入相の鐘
次の歌
波近き磯の松が根枕にて うら悲しきは今宵のみかは