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分けて行く山路の雪は深くとも
とくたちかへれ年にたぐへて

歌の意味
分けて行く山路の雪は深くても、早く戻ってきなさい。改まる年とともに。
鑑賞
雑歌 1058

詞書「返し」
 前歌の西行の答えに対する中宮大夫の返歌である。分け入る山路の雪がどれほど深くても、年が改まるのとともに早く都へ帰ってきなさい、と再会を促している。
 西行の「年かへりてや」を受けて、年が立ち返るのに合わせてあなたも立ち返れ、と言葉を返した機知のある一首である。中宮大夫が誰を指すかについては定説を見ない。中宮大夫は中宮職の長官の呼称である。

 初句「分けて行く」は、雪を分けて行く、の意で、前歌の「雪分けて」を受けている。
 二句「山路の雪は」は、高野へ向かう山道の雪は、の意である。
 三句「深くとも」の「とも」は逆接の仮定条件で、深くても、の意を表す。
 四句「とくたちかへれ」の「たち」は、新年が「立つ」意と、人が「立ち帰る」意を掛けた掛詞で、早く帰って来いと命令形で呼びかけている。
 結句「年にたぐへて」は、年と連れ立って、の意で、前歌の「年かへりて」を受け、年が改まるのと一緒に戻れ、と結んでいる。

たちかへる:年が「立つ」意と、人が「立ち帰る」意を掛ける
たぐふ:連れ立つ、伴う
作者
中宮大夫
出典
山家集
前の歌
雪分けて深き山路にこもりなば 年かへりてや君に逢ふべき
次の歌
霞めども年のうちはとわかね間に 春を告ぐなる山川の水