いつしかも初春雨ぞ降りにける
野辺の若菜も生ひやしねらん
- 歌の意味
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いつの間にか、もう初春の雨が降ったことだ。野辺の若菜も生え伸びたことだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1063
詞書「正月元日に雨降りけるに」
正月元日に雨が降ったので詠んだ一首である。いつの間にかもう新春最初の春雨が降った、この雨で野辺の若菜も伸び出したことだろうか、と、新春の雨に若菜の成長を思いやっている。
前の第千六十首が年内立春の雨に春を実感できない心を詠んだのに対し、本歌は元日の雨を若菜を育てる春雨として喜び迎えており、同じ雨を詠みながら心の向きが反転している。
初句「いつしかも」は、いつの間にか早くも、の意である。
二句「初春雨ぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「ける」で結ぶ係り結びとなる。
三句「降りにける」は「ぞ」の結びとして連体形で、降ったことだ、の意を表し、三句切れとなる。
四句「野辺の若菜も」は、野原の若菜も、の意で、春雨の恵みを受けるものとして挙げている。
結句「生ひやしねらん」は、本文に「おひやしねらん」とあり、読み仮名の行には「おひやしぬらむ」とある。ここでは本文の表記に従い、「生ひやしぬらん」の意に解する。「や」は疑問、「らん」は現在推量の助動詞で、生え伸びたことだろうか、と思いやっている。
はつはるさめ:新春に初めて降る春雨
おふ:草木が生える、伸びる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なにとなく雪になりぬと聞く日より 心にかかるみ吉野の山
- 次の歌
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山路こそ雪の下水解けざらめ 都の空は春めきぬらん