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雪分けて外山が谷の鶯は
麓の里に春や告ぐらん

歌の意味
雪を分けて、外山の谷の鶯は、麓の里に春が来たことを告げているのだろうか。
鑑賞
雑歌 1065

詞書「深山不知春」
 「深山、春を知らず」という題の一首である。春を知らない深山の奥から、雪を分けて外山の谷に出てきた鶯は、麓の里に春の訪れを告げているのだろうか、と詠む。
 深山にはまだ春が来ないが、里に近い外山の谷から鶯が里へ春を告げに行くという、山の奥と麓との季節の隔たりを、鶯の動きによって描いている。前の第千六十四首が山路と都とを対比したのと同じく、山中と里との対比が一首の骨格となっている。

 初句「雪分けて」は、雪を分けて、の意で、まだ雪深い山中を表す。
 二句「外山が谷の」の「外山」は人里に近い端の山で、深山と対比される。本文は「と山かたにの」とあり、「外山が谷の」と解する。
 三句「鶯は」は、春を告げる鳥として示されている。
 四句「麓の里に」は、山の麓の人里に、の意である。
 結句「春や告ぐらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、係り結びとなり、春を告げているのだろうか、と推し量っている。

とやま:人里に近い山、端山
作者
西行
出典
山家集
前の歌
山路こそ雪の下水解けざらめ 都の空は春めきぬらん
次の歌
おぼつかな春の日数のふるままに 嵯峨野の雪は消えやしぬらん