おぼつかな春の日数のふるままに
嵯峨野の雪は消えやしぬらん
- 歌の意味
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気がかりなことだ。春の日数が経つにつれて、嵯峨野の雪は消えてしまったのだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1066
詞書「嵯峨にまかりたりけるに、雪深かりけるを見置きて出でし、など申し遣はすとて」
嵯峨に出かけたとき、雪が深く積もっているのを見たまま出てきたなどと、知人に書き送るのに添えた一首である。春の日数が経つにつれて、あの嵯峨野の雪はもう消えてしまったのだろうか、気がかりだ、と、見残してきた雪景色を思いやっている。
次の第千六十七首の返歌と一組の贈答であり、去った者が残された景を気にかける心を詠んでいる。嵯峨野は都の西郊の野で、隠棲の地としても知られた。
初句「おぼつかな」は形容詞「おぼつかなし」の語幹で、気がかりだ、と詠嘆的に言い切る初句切れである。
二句「春の日数の」は、春になってからの日数の、の意である。
三句「ふるままに」の「ふる」は、日数が「経る」意と、雪が「降る」意を掛けた掛詞で、経つにつれて、の意に雪の縁を響かせている。
四句「嵯峨野の雪は」は、見置いてきた嵯峨野の雪は、の意である。
結句「消えやしぬらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」で結び、消えてしまったのだろうか、と推し量っている。
おぼつかなし:気がかりだ、はっきりしない
ふる:日数が「経る」意と、雪が「降る」意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雪分けて外山が谷の鶯は 麓の里に春や告ぐらん
- 次の歌
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立ち帰り君や訪ひ来と待つほどに まだ消えやらず野辺の淡雪