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思ひ果てて古巣に帰る鶯は
旅のねぐらや住み憂かりつる

歌の意味
すっかり思い切って古巣に帰ってきた鶯は、旅先のねぐらが住みづらかったのだろうか。
鑑賞
雑歌 1068

詞書「鳴き絶えたりける鶯の、住み侍りける谷に声のしければ」
 しばらく鳴き声の絶えていた鶯が、もとの住みかの谷で再び鳴いたので詠んだ一首である。すっかり思い定めて古巣に帰ってきた鶯は、旅先のねぐらが住みにくかったのだろうか、と、鶯の帰還を人の旅にたとえて思いやっている。
 鶯を旅人に見立て、よそで暮らしてみたものの結局は古巣が一番だった、とする擬人化が軽妙である。各地をめぐった西行自身の旅の思いも重ねられているように読める。

 初句「思ひ果てて」は、すっかり思い定めて、の意で、字余りとなっている。
 二句「古巣に帰る」は、もとの巣に帰ってくる、の意である。
 三句「鶯は」は、旅から帰った者として擬人化されている。
 四句「旅のねぐらや」の「や」は疑問の係助詞で、結句の連体形「つる」で結ぶ係り結びとなる。
 結句「住み憂かりつる」は「や」の結びとして連体形で、住みづらかったのだろうか、と推し量っている。

おもひはつ:すっかり思い定める、思い切る
ねぐら:鳥の寝る所
すみうし:住みづらい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
立ち帰り君や訪ひ来と待つほどに まだ消えやらず野辺の淡雪
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月見れば風に桜の枝なえて 花よと告ぐる心地こそすれ