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志深く運べるみやたてを
悟りひらけん春にたぐへよ

歌の意味
深い志を込めて運んでくださったみやたてへの贈り物を、悟りの花の開く春になぞらえて受け取ってほしい。
鑑賞
雑歌 1072

詞書「返し」
 前歌の西行の歌に対するみやたての返歌である。深いお志をもって運んでくださったこの品を、私が悟りを開くであろう春になぞらえてください、と応えている。
 「花」の果物を受けて、花の開く春と、悟りが開けることとを重ね、出家の身としての願いを込めた返歌である。贈られた品を、仏道の成就を祈る供養の心に結びつけている。

 初句「志」は、相手の厚意、贈ってくれた真心を指す。
 二句「深く運べる」は、深い心を込めて運んでくれた、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
 三句「みやたてを」は、作者自身の名を用いて、みやたてへの贈り物を、の意に解される。
 四句「悟りひらけん」の「ひらけ」は、悟りが「開ける」意と、花が「開く」意を響かせ、「ん」は推量の助動詞で、悟りが開けるであろう、の意を表す。
 結句「春にたぐへよ」は、春になぞらえてほしい、の意で、命令形で結んでいる。

たぐふ:並べる、なぞらえる
ひらく:悟りが「開ける」意と、花が「開く」意を響かせる
作者
みやたて
出典
山家集
前の歌
思ひつつ花のくだもの摘みてけり 吉野の人のみやたてにして
次の歌
吹き乱る風になびくと見るほどに 春を結べる青柳の糸