吹き乱る風になびくと見るほどに
春を結べる青柳の糸
- 歌の意味
-
吹き乱れる風になびいていると見ているうちに、散りかかる花を結びとめて、春を結んでいる青柳の糸であることよ。
- 鑑賞
-
雑歌 1073
詞書「桜に並びて立てりける柳に、花の散りかかりけるを見て」
桜と並んで立っている柳に、桜の花びらが散りかかるのを見て詠んだ一首である。吹き乱れる風に柳がなびいていると見ているうちに、その青柳の枝が散ってきた花びらを絡めとって、まるで春を結びとめているようだ、と詠む。
柳の枝を糸と見る伝統的な見立てを用い、糸が花を結ぶ、すなわち春を結びとめるという趣向に発展させている。桜と柳の取り合わせは、都の春の典型的な景物でもある。
初句「吹き乱る」は、激しく吹き乱れる、の意である。
二句「風になびくと」は、風になびいていると、の意である。
三句「見るほどに」は、見ているうちに、の意で、情景の転換を導く。
四句「春を結べる」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、散りかかる花びらを結びとめて、春そのものを結んでいる、の意を表す。
結句「青柳の糸」は体言止めで、柳の細い枝を糸に見立てる伝統的な表現である。「糸」と「結ぶ」は縁語となっている。
あをやぎ:青々と芽吹いた柳
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
志深く運べるみやたてを 悟りひらけん春にたぐへよ
- 次の歌
-
紅葉見し高野の峰の花盛り 頼めぬ人の待たるるやなに