- 歌の意味
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庭よりもむしろ、鷺のとまっている松の梢にこそ雪が積もっているように見える。夏の夜の月の光のもとで。
- 鑑賞
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雑歌 1076
詞書「天王寺へ参りたりけるに、松に鷺のゐたりけるを、月の光に見てよめる」
天王寺に参詣した折、松の木に鷺がとまっているのを月の光の中で見て詠んだ一首である。夏の夜の月光に照らされて、庭よりもむしろ鷺のとまる松の梢にこそ雪が積もっているように見える、と詠む。
白い鷺と月光とを雪に見立て、夏の夜に雪景色を出現させた鮮やかな見立ての歌である。月光の白さを雪にたとえる表現は和歌の伝統であるが、そこに鷺を配して梢の上に雪を積もらせた点に新しさがある。
初句「庭よりは」は、月光で白く見える庭よりもむしろ、の意で、比較を示す。
二句「鷺ゐる松の」は、鷺がとまっている松の、の意である。
三句「梢にぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、四句の連体形「積もれる」で結ぶ係り結びとなる。
四句「雪は積もれる」は、雪が積もっている、の意で、白い鷺と月光とを雪に見立てている。
結句「夏の夜の月」は体言止めで、夏に雪を見るという意外さを、月の光のなせるわざとして示している。
ゐる:鳥がとまる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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共に見し峰の紅葉のかひなれや 花の折にも思ひ出でける
- 次の歌
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松が根の岩田の岸の夕涼み 君があれなと思ほゆるかな