松が根の岩田の岸の夕涼み
君があれなと思ほゆるかな
- 歌の意味
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松の根の張る岩田川の岸での夕涼みに、あなたがここにいてくれたらと思われることだ。
- 鑑賞
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雑歌 1077
詞書「夏、熊野へ参りけるに、岩田と申す所に涼みて、下向しける人につけて、京へ、西住上人のもとへ遣はしける」
夏に熊野へ参詣する途中、岩田という所で涼をとり、熊野から都へ帰る人に託して、京にいる西住上人のもとへ送った一首である。松の根の張る岩田の岸での夕涼みに、あなたもここにいてくれたらと思われる、と、同行の友を慕っている。
熊野詣での途中の涼やかな情景を、ともに分かち合いたい友への思いとして詠んでいる。西住は西行と長く行動をともにした同行の僧であり、本巻にも二人の贈答が収められている。
初句「松が根の」は、松の根の張る、の意で、岸の情景を示す。
二句「岩田の岸の」の「岩田」は紀伊の熊野街道沿いの地名で、岩田川の岸を指す。「松が根」と「岩」とが縁を持つ。
三句「夕涼み」は、夕方に涼をとること、の意で、体言で三句切れとなる。
四句「君があれなと」の「な」は願望の終助詞で、あなたがいてくれたらと、の意を表す。
結句「思ほゆるかな」の「思ほゆ」は、自然と思われる意、「かな」は詠嘆の終助詞である。
おもほゆ:自然と思われる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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庭よりは鷺ゐる松の梢にぞ 雪は積もれる夏の夜の月
- 次の歌
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葛城や正木の色は秋に似て よその梢は緑なるかな