あくがれし心を道のしるべにて
雲に伴ふ身とぞなりぬる
- 歌の意味
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あこがれさまよい出た心を道案内として、雲とともに行く身となったことだ。
- 鑑賞
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雑歌 1084
詞書「宮の法印、高野に籠もらせ給ひて、おぼろけにては出でじと思ふに、修行のせまほしきよし語らせ給ひけり、千日果てて、御嶽に参らせ給ひて、言ひ遣はしける」
宮の法印元性が高野山に籠もり、並大抵のことでは山を出まいと思っていたが、修行の旅をしたいと語っていた。千日の籠山を終えて大峰の御嶽に参られたとき、西行が書き送った一首である。あこがれ出た心を道しるべとして、雲とともに山を行く身となられたことだ、と、法印の修行の門出を称えている。
「あくがる」は心が身を離れてさまよい出ることで、その心をかえって道案内とするという逆説に、修行者の境涯への共感が込められている。次の第千八十五首の法印の返歌と一組の贈答をなす。
初句「あくがれし」は、心が身を離れてさまよい出た、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「心を道の」は、その心を修行の道の、の意である。
三句「しるべにて」は、道案内として、の意である。
四句「雲に伴ふ」は、雲と連れ立つ、の意で、大峰の深山を行く修行者の姿を表す。
結句「身とぞなりぬる」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「ぬる」で結ぶ係り結びとなる。
あくがる:心が身から離れてさまよい出る
しるべ:道案内
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なにとなく落つる木の葉も吹く風に 散りゆく方は知られやはせぬ
- 次の歌
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山の端に月すむまじと知られにき 心の空になると見しより