山の端に月すむまじと知られにき
心の空になると見しより
- 歌の意味
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山の端に月はとどまって澄むまいと、自然と知られたことだ。心が上の空になっていると見たその時から。
- 鑑賞
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雑歌 1085
詞書「返し」
前歌の西行の歌に対する宮の法印元性の返歌である。月が山の端にとどまり澄んではいないだろうと分かっていた、私の心が上の空になっているのを見た時から、と応えている。
山にとどまれない自分を、山の端に住みとどまらない月にたとえ、修行の旅に心が浮き立っていたことを認めている。「心の空」は上の空の意とともに、月の渡る空をも響かせている。宮の法印は崇徳院の皇子元性で、仁和寺に入り法印となった人である。
初句「山の端に」は、山の稜線に、の意で、高野の山を響かせている。
二句「月すむまじと」の「すむ」は、「住む」と「澄む」を掛けた掛詞で、月が山にとどまって澄むことはあるまい、の意を表す。
三句「知られにき」の「れ」は自発の助動詞、「にき」は完了と過去で、自然と分かっていた、の意を表し、三句切れとなる。
四句「心の空に」は、心が上の空に、の意で、月の渡る空を響かせている。
結句「なると見しより」は、なったと見た時から、の意で、倒置によって理由を後から示している。
すむ:「住む」と「澄む」を掛ける
こころのそら:心が上の空であること
- 作者
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元性
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あくがれし心を道のしるべにて 雲に伴ふ身とぞなりぬる
- 次の歌
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心をば深き紅葉の色に染めて 別れて行くや散るになるらん