心をば深き紅葉の色に染めて
別れて行くや散るになるらん
- 歌の意味
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心を深い紅葉の色に染めておいて、別れて去ってゆくことが、紅葉の散ることにあたるのだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1086
詞書「年頃申し馴れたりける人に、遠く修行するよし申してまかりたりけり、名残多くて立ちけるに、紅葉のしたりけるを見せまほしくて、待ちつるかひなく、いかにと申しければ、木の下に立ち寄りてよみける」
長年親しくしてきた人に、遠く修行に出ると告げに行き、名残惜しく立ち去ろうとしたとき、その人が、紅葉したのを見せたくて待っていたのに甲斐もなく、どうしたことかと言うので、紅葉の木の下に立ち寄って詠んだ一首である。心はこの深い紅葉の色に染めておいて、別れて去ってゆくことこそが、紅葉の散ることにあたるのだろう、と答えている。
紅葉を見ずに去るのかという相手の恨みに対し、心は紅葉に深く染まっている、ただ自分が去るのが散る紅葉のようなものだ、と機知をもって応え、別れの名残を紅葉に託している。
初句「心をば」の「をば」は格助詞「を」に係助詞「は」が付いたもので、心を取り立てている。
二句「深き紅葉の」は、色の深い紅葉の、の意で、別れの思いの深さも響かせている。
三句「色に染めて」は、その色に心を染めて、の意で、字余りとなっている。
四句「別れて行くや」の「や」は疑問の係助詞で、結句の連体形「らん」で結ぶ係り結びとなる。
結句「散るになるらん」は、紅葉の散ることにあたるのだろうか、の意で、自分の旅立ちを散る紅葉になぞらえている。
もみぢす:紅葉する
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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山の端に月すむまじと知られにき 心の空になると見しより
- 次の歌
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涙のみかきくらさるる旅なれや さやかに見よと月は澄めども