身にもしみ物あはれなるけしきさへ
あはれを責むる風の音かな
- 歌の意味
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身にもしみ、もの悲しい景色であるのに、そのうえさらに哀れをせき立てる風の音であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1088
詞書「題しらず」
身にしみてもの悲しい景色だけでも十分であるのに、そのうえさらに哀れの情をせき立てるように風の音が聞こえてくる、と詠む。
「あはれ」を二度重ね、景色と風の音とが重なって哀感が極まるさまを表している。目に見える景と耳に聞こえる音とを重ねる構成は、本巻の巻頭の第千四十二首で、庭の景色と秋風とが身にしむと詠んだのと響き合っている。
初句「身にもしみ」は、身にもしみ通り、の意である。
二句「物あはれなる」は、なんとなくもの悲しい、の意である。
三句「けしきさへ」の「さへ」は添加の副助詞で、景色までも、の意を表す。
四句「あはれを責むる」は、哀れの情をせき立てる、責め立てる、の意で、「あはれ」の重出が哀感を強めている。
結句「風の音かな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。
せむ:せき立てる、責め立てる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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涙のみかきくらさるる旅なれや さやかに見よと月は澄めども
- 次の歌
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いかでかは音に心の澄まざらん 草木もなびく嵐なりけり