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いかでかは音に心の澄まざらん
草木もなびく嵐なりけり

歌の意味
どうしてこの音に心が澄まないことがあろうか。草木までもなびかせる嵐であることだ。
鑑賞
雑歌 1089

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 草木までもなびき伏させるほどの嵐の音に、どうして心が澄まないことがあろうか、と詠む。激しい嵐の音が、かえって心を清らかに澄ませるという境地を表している。
 前歌が風の音に哀れが募ることを詠んだのに対し、本歌は嵐の音によって心が澄むことを詠んでおり、同じ風の音を、哀感と澄心という異なる働きから捉えた対となっている。草木が仏の教えになびくという仏教的な連想も感じられる。

 初句「いかでかは」は反語で、どうして〜であろうか、の意を表し、三句と呼応する。
 二句「音に心の」は、嵐の音によって心が、の意である。
 三句「澄まざらん」は「いかでかは」と呼応し、澄まないことがあろうか、きっと澄む、の意を表して三句切れとなる。
 四句「草木もなびく」は、草木までもなびき伏す、の意で、嵐の激しさを示す。
 結句「嵐なりけり」の「けり」は詠嘆で、それほどの嵐であることだ、と結ぶ。

すむ:心が清らかに澄む
作者
西行
出典
山家集
前の歌
身にもしみ物あはれなるけしきさへ あはれを責むる風の音かな
次の歌
松風はいつも常磐に身にしめど わきて寂しき夕暮の空