程経れば同じ都のうちだにも
おぼつかなさは問はまほしきを
- 歌の意味
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時が経てば、同じ都の中にいてさえ、気がかりなことは尋ねたく思うものなのに。まして遠く離れては。
- 鑑賞
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雑歌 1091
詞書「遠く修行に思ひ立ち侍りけるに、遠行の別れと云ふ事を、人々まで来てよみ侍りしに」
遠く修行の旅に出ようと思い立ったとき、人々が訪ねてきて「遠行の別れ」という題で歌を詠んだ折の一首である。しばらく時が経てば、同じ都の中にいてさえ相手の様子が気がかりで尋ねたくなるものなのに、まして遠く離れてしまえば、と、別れの心細さを詠んでいる。
「だに」によって、近くにいてさえそうなのだから遠く離れてはなおさらだ、という類推を導き、見送る人々との別れを惜しんでいる。
初句「程経れば」は、時が経てば、の意である。
二句「同じ都の」は、同じ都という近い所の、の意である。
三句「うちだにも」の「だに」は類推の副助詞で、その中にいてさえ、の意を表す。
四句「おぼつかなさは」は、相手の様子のはっきりしない気がかりさは、の意である。
結句「問はまほしきを」の「まほし」は希望の助動詞、「を」は詠嘆を込めた逆接で、尋ねたく思うのに、と言いさして、遠く別れる心細さを余情として残している。
おぼつかなし:様子がはっきりせず気がかりだ
まほし:〜したい
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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松風はいつも常磐に身にしめど わきて寂しき夕暮の空
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定めなし幾年君に馴れ馴れて 別れを今日は思ふなるらん