定めなし幾年君に馴れ馴れて
別れを今日は思ふなるらん
- 歌の意味
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世は定めないものだ。幾年もあなたに親しみ馴れてきて、今日は別れを思うことになるのだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1092
詞書「年久しく相頼みたりける同行に離れて、遠く修行して帰らずもやと思ひける、なにとなくあはれにて」
長年頼りあってきた同行の僧と離れて遠く修行に出ることになり、もう帰らないかもしれないと思うと、なんとなく哀れに感じて詠んだ一首である。世は定めないものだ、何年もあなたと親しく馴れてきたのに、今日は別れを思うことになるとは、と詠む。
初句で世の無常を言い切り、長年の親しさと今日の別れとを対比している。生きて再会できるかわからない修行の旅に出る覚悟と、同行への深い情とがうかがえる一首である。
初句「定めなし」は、世は定めないものだ、と言い切る初句切れである。
二句「幾年君に」は、何年もの間あなたに、の意である。
三句「馴れ馴れて」は、親しみ馴れに馴れて、の意で、同語の反復が長年の親しさを強めている。
四句「別れを今日は」は、今日は別れを、の意で、長い年月と今日とを対比している。
結句「思ふなるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、思うことになるのだろうか、と自らの境遇をいぶかっている。
なれなる:すっかり親しみ馴れる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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程経れば同じ都のうちだにも おぼつかなさは問はまほしきを
- 次の歌
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別るとも馴るる思ひや重ねまし 過ぎにし方の今宵なりせば