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都にも旅なる月の影をこそ
同じ雲居の空に見るらめ

歌の意味
都でも、今旅の空で私が見ているこの月の光を、同じ雲の空に見ていることだろう。
鑑賞
雑歌 1094

詞書「修行して伊勢にまかりけるに、月の頃都思ひ出でられて」
 修行の旅で伊勢に向かう途中、月の美しい頃に都が思い出されて詠んだ一首である。今旅先で見ているこの月を、都の人々も同じ空に見ていることだろう、と、遠く離れた都の人と月を介して心を通わせている。
 離れた場所で同じ月を見るという発想は和歌の伝統的なものであり、旅の孤独を、月を共有する想像によって慰めている。「雲居」は空と宮中の両方を意味し、都への思いを響かせている。

 初句「都にも」は、都においても、の意である。
 二句「旅なる月の」は、旅先で見ている月の、の意である。
 三句「影をこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の已然形「らめ」で結ぶ係り結びとなる。
 四句「同じ雲居の」の「雲居」は空の意で、宮中の意も響かせ、都の空を思わせている。
 結句「空に見るらめ」は「こそ」の結びとして已然形で、見ていることだろう、と推し量っている。

くもゐ:空、雲のある所。宮中の意もある
作者
西行
出典
山家集
前の歌
別るとも馴るる思ひや重ねまし 過ぎにし方の今宵なりせば
次の歌
かしこまる四手に涙のかかるかな 又いつかはと思ふあはれに