柴の庵のしばし都へ帰らじと
思はんだにもあはれなるべし
- 歌の意味
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柴の庵に残る私が、しばらく都へは帰るまいと思うだけでも、あわれなことだろう。
- 鑑賞
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雑歌 1098
詞書「一人見置きて、帰りまかりなんずるこそあはれに、いつか都へは帰るべき、など申しければ」
同行の僧が、あなた一人を残して帰ってゆくのはしみじみと悲しい、いつ都へ帰るつもりか、と言ったのに答えた一首である。柴の庵に住む私が、しばらくは都へ帰るまいと思うだけでも、哀れなことだろう、と答えている。
前の第千九十七首を受け、残される側の心を詠んでいる。帰らないと決めること自体が哀れであるとし、いつ帰るかには答えずに、四国にとどまる覚悟と寂しさとを同時に表している。
初句「柴の庵の」は、柴で葺いた粗末な庵の、の意で、同音の「しばし」を導く序詞的な働きをしている。
二句「しばし都へ」は、しばらく都へは、の意である。
三句「帰らじと」の「じ」は打消意志の助動詞で、帰るまいと、の意を表す。
四句「思はんだにも」の「だに」は類推の副助詞で、そう思うだけでも、の意を表す。
結句「あはれなるべし」の「べし」は推量の助動詞で、哀れなことだろう、と結ぶ。
しばのいほ:柴で作った粗末な庵
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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帰りゆく人の心を思ふにも 離れがたきは都なりけり
- 次の歌
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草枕旅なる袖に置く露を 都の人や夕に見ゆらん