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わたの原はるかに波を隔て来て
都に出でし月を見るかは

歌の意味
大海原をはるかに波を隔ててやって来て、都で山の端から出たあの月を見ているのだろうか。
鑑賞
雑歌 1101

詞書は前の歌に続き「旅の歌よみけるに」
 大海原をはるかに波を隔ててやって来たのに、今見ているのは、都で山の端から出たのと同じあの月なのだろうか、と詠む。海の上に昇る月を見て、都で見た山の端の月を思い起こしている。
 都では山から出る月を見ていたが、海の旅では波から出る月を見る。同じ月でありながら、出る所が違うことに、都から遠く隔たった身を実感している。次歌と一組で、海上の月を都の月と比べる趣向が続く。

 初句「わたの原」は、広々とした海、大海原の意である。
 二句「はるかに波を」は、遠くはるかに波を、の意である。
 三句「隔て来て」は、間に隔ててやって来て、の意である。
 四句「都に出でし」は、都で山の端から出た、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
 結句「月を見るかは」の「かは」は疑問で、あの月を見ているのか、と、同じ月でありながら異なる場で見る感慨を表している。

わたのはら:大海原
作者
西行
出典
山家集
前の歌
越え来つる都隔つる山さへに 果ては霞に消えぬめるかな
次の歌
わたの原波にも月は隠れけり 都の山を何厭ひけん