月澄めば谷にぞ雲は沈むめる
峰吹き払ふ風に敷かれて
- 歌の意味
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月が澄んでいるので、雲は谷の方に沈んでいるように見える。峰を吹き払う風に押し敷かれて。
- 鑑賞
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雑歌 1106
詞書は前の歌に続き「大峰の深仙と申す所にて、月を見てよみける」
月が澄みわたっているので、雲は谷の方へ沈んでいるようだ、峰を吹き払う風に押し伏せられて、と詠む。峰の上は風に払われて月が澄み、雲は谷底に敷き詰められているという、高所から見下ろす壮大な景である。
深仙での月の歌の三首目であり、前の二首が月の感動とその理由を詠んだのに対し、本歌は月の澄む峰と雲の沈む谷という上下の対比によって、高い峰に立つ修行者の視点を描いている。雲海を見下ろす山岳修行ならではの景である。
初句「月澄めば」は、月が澄んでいるので、の意である。
二句「谷にぞ雲は」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「める」で結ぶ係り結びとなる。
三句「沈むめる」の「める」は推定の助動詞「めり」の連体形で、沈んでいるように見える、の意を表し、三句切れとなる。
四句「峰吹き払ふ」は、峰の上を吹き払う、の意で、谷との上下の対比をなす。
結句「風に敷かれて」は、風に押し敷かれて、の意で、倒置によって雲が沈む理由を示している。
しく:一面に敷き広げる、押し伏せる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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峰の上も同じ月こそ照らすらめ 所がらなるあはれなるべし
- 次の歌
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姨捨は信濃ならねどいづくにも 月澄む峰の名にこそありけれ