梢漏る月もあはれを思ふべし
光に具して露のこぼるる
- 歌の意味
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梢を漏れてくる月も、あわれを感じているにちがいない。その光に連れ立って、露がこぼれ落ちてくることだ。
- 鑑賞
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雑歌 1110
詞書「平地と申す宿にて、月を見けるに、梢の露の袂にかかりければ」
大峰の平地という宿で月を見ていたとき、梢の露が袂にこぼれかかってきたので詠んだ一首である。梢の間から漏れてくる月も、あわれを感じているにちがいない、その光とともに露がこぼれてくるのだから、と詠む。
月光とともに落ちる露を、月の流す涙に見立て、月にも心があるかのように擬人化している。袂にかかる露は作者自身の涙とも重なり、月と人とが哀れを分かち合う一首となっている。
初句「梢漏る」は、梢の間から漏れてくる、の意である。
二句「月もあはれを」の「も」は、人ばかりでなく月も、の意を表す。
三句「思ふべし」の「べし」は推量の助動詞で、思っているにちがいない、の意を表し、三句切れとなる。
四句「光に具して」は、光と連れ立って、の意である。
結句「露のこぼるる」は連体形止めで、露がこぼれてくることだ、と詠嘆を込めて結び、露を月の涙に見立てている。
ぐす:連れ立つ、伴う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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庵さす草の枕に伴ひて 笹の露にも宿る月かな
- 次の歌
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神無月時雨晴るれば東屋の 峰にぞ月はむねと澄みける