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笹深み霧越す岫を朝立ちて
なびきわづらふ蟻の門渡り

歌の意味
笹が深いので、霧が越えてゆく峰を朝早く出立して、身をかがめ難渋しながら渡ってゆく、蟻の門渡りであることよ。
鑑賞
雑歌 1116

詞書「蟻の門渡りと申す所にて」
 大峰の蟻の門渡りという所で詠んだ一首である。笹が深く茂るので、霧が越えてゆく峰の道を朝早く出立し、身をかがめるようにして難渋しながら渡ってゆく、と詠む。
 蟻の門渡りは、両側が切り立った狭い岩稜で、蟻が一列に門を渡るように慎重に進まねばならない難所である。その名のとおり、修行者が身を伏せて進む姿が「なびきわづらふ」に表されている。

 初句「笹深み」の「み」は原因を表す接尾語で、笹が深いので、の意である。
 二句「霧越す岫を」の「岫」は山の峰や岩穴の意で、霧が越えてゆく峰を、の意である。
 三句「朝立ちて」は、朝早く出発して、の意である。
 四句「なびきわづらふ」は、身をかがめなびくようにして難渋する、の意である。
 結句「蟻の門渡り」は大峰の難所の名で、体言止めによって険しい岩稜の印象を残している。

くき:山の峰、岩穴
ありのとわたり:大峰の険しい岩稜の難所の名
作者
西行
出典
山家集
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分けて行く色のみならず梢さへ 千種の岳は心染みけり
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