よしさらば幾重ともなく山越えて
やがても人に隔てられなん
- 歌の意味
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ええ、それならば、幾重とも知れず山を越えて行って、そのまま本当に人から隔てられてしまおう。
- 鑑賞
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雑歌 1120
詞書「修行して遠くまかりける折、人の思ひ隔てたるやうなる事の侍りければ」
修行の旅で遠くへ出かけたとき、ある人が心に隔てを置いているような様子であったので詠んだ一首である。ええ、それならいっそ、幾重とも知れぬ山を越えて、そのまま本当に人から隔てられてしまおう、と詠む。
人の心の隔てに対して、物理的な山の隔てで応えようとする、開き直りにも似た心情である。そこには、人とのわだかまりを超えて修行に身を投じようとする決意と、人恋しさの裏返しとしての寂しさとがにじんでいる。
初句「よしさらば」は、ええ、それならば、の意で、相手の態度を受けて開き直る心を表す。
二句「幾重ともなく」は、幾重とも数えきれないほど、の意である。
三句「山越えて」は、山々を越えて、の意である。
四句「やがても人に」の「やがて」は、そのまま、の意である。
結句「隔てられなん」の「なん」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形に意志の助動詞「ん」が付いたもので、隔てられてしまおう、の意を表す。詞書の「思ひ隔てたる」を受けている。
よしさらば:ええ、それならば。開き直る気持ちを表す
やがて:そのまま、すぐに
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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こここそは法説かれける所よと 聞く悟りをも得つる今日かな
- 次の歌
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しをりせしなほ山深く分け入らん 憂き事聞かぬ所ありやと