しをりせしなほ山深く分け入らん
憂き事聞かぬ所ありやと
- 歌の意味
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枝を折って道しるべをしてきたこの山よりも、さらに山深く分け入ろう。つらいことを耳にしない所があるかと。
- 鑑賞
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雑歌 1121
詞書「思はずなる事思ひ立つよし聞こえける人のもとへ、高野より言ひ遣はしける」
思いがけないことを思い立ったと噂に聞いた人のもとへ、高野山から書き送った一首である。道しるべの枝を折りながら分け入ってきたこの山よりも、さらに奥深くへ分け入ろう、つらいことを聞かずにすむ所があるかと、と詠む。
「思はずなる事」は出家や遁世を思い立ったことを指すと見られ、その人に向けて、自らも山にいながらなお憂き世の噂から逃れきれず、さらに奥へと向かう心を伝えている。相手の決意への共感と、遁世してもなお残る世の憂さとが重ねられている。
初句「しをりせし」の「しをり」は、山道で木の枝を折って道しるべとすること、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「なほ山深く」は、それよりもさらに山深く、の意である。
三句「分け入らん」の「ん」は意志の助動詞で、分け入ろう、の意を表し、三句切れとなる。
四句「憂き事聞かぬ」は、つらいことを耳にしない、の意である。
結句「所ありやと」の「や」は疑問で、そのような所があるかと、の意を表し、倒置によって分け入る目的を示している。
しをり:山道で枝を折って道しるべとすること
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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よしさらば幾重ともなく山越えて やがても人に隔てられなん
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秋は暮れ君は都へ帰りなば あはれなるべき旅の空かな