秋は暮れ君は都へ帰りなば
あはれなるべき旅の空かな
- 歌の意味
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秋は暮れてゆき、あなたは都へ帰ってしまったならば、どんなにか哀れであるにちがいない旅の空であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1122
詞書「塩湯にまかりたりけるに、具したりける人、九月晦日に先に上りければ、遣はしける人に代はりて」
塩湯へ湯治に出かけたとき、同行していた人が九月の晦日に先に都へ上っていったので、残った人に代わって詠み送った一首である。秋は暮れてゆき、あなたは都へ帰ってしまったら、残された旅の空はどんなにか哀れだろう、と詠む。
九月晦日は秋の最後の日であり、秋が去ることと人が去ることとを重ねている。「秋は暮れ」「君は都へ」と対句的に重ねて、二重の別れの寂しさを強調している。次の第千百二十三首の加賀の返歌と一組の贈答をなす。
初句「秋は暮れ」は、秋は暮れてゆき、の意で、九月晦日の秋の終わりを示す。
二句「君は都へ」は、あなたは都へ、の意で、初句と対句的に並べられている。
三句「帰りなば」の「なば」は完了の助動詞「ぬ」の未然形に「ば」が付いた仮定条件で、帰ってしまったならば、の意である。
四句「あはれなるべき」の「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形で、哀れであるにちがいない、の意である。
結句「旅の空かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、残された旅先の寂しさを結ぶ。
しほゆ:塩分を含む温泉、塩湯
つごもり:月の末日
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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しをりせしなほ山深く分け入らん 憂き事聞かぬ所ありやと
- 次の歌
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君を置きて立ち出づる空の露けさに 秋さへ暮るる旅の悲しさ