枯れにける松なき跡の武隈は
みきと言ひてもかひなかるべし
- 歌の意味
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枯れてしまって松のない跡となった武隈では、見たと言っても、二木と言っても、甲斐のないことだろう。
- 鑑賞
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雑歌 1128
詞書「武隈の松も昔になりたりけれども、跡をだにとて見にまかりてよみける」
武隈の松はもう昔のものとなって残っていなかったが、せめて跡だけでも見ようと訪ねて詠んだ一首である。松が枯れてなくなってしまった武隈では、見たと言っても、二木の松だと言っても、甲斐のないことだろう、と詠む。
武隈の松は陸奥の歌枕で、橘季通の「武隈の松は二木を都人いかがと問はばみきと答へむ」(後拾遺和歌集)で知られる。その「みき」に「見き」と「三木」とを掛けた先例を踏まえ、松そのものがない今は、見たと答えても意味がないと嘆いている。能因もまた、武隈の松の跡がないことを嘆く歌を残している。
初句「枯れにける」は、枯れてしまった、の意で、「にける」は完了と過去の助動詞である。
二句「松なき跡の」は、松のなくなった跡の、の意である。
三句「武隈は」は、陸奥国の歌枕武隈の松の地は、の意である。
四句「みきと言ひても」の「みき」は、「見き」と、松の数を言う「三木」を掛けた掛詞で、季通の歌を踏まえている。
結句「かひなかるべし」の「べし」は推量の助動詞で、甲斐がないだろう、と結ぶ。
たけくま:陸奥国の地名。武隈の松で知られる歌枕
みき:「見き」と、二股の松を言う「三木」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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都出でて逢坂越えし折までは 心かすめし白河の関
- 次の歌
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踏まま憂き紅葉の錦散り敷きて 人も通はぬ思はくの橋