とりわきて心も凍みて冴えぞわたる
衣川見にきたる今日しも
- 歌の意味
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とりわけ心までも凍りつくほどに冷えわたることだ。衣川を見にやって来た、ちょうど今日という日に。
- 鑑賞
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雑歌 1131
詞書「十月十二日、平泉にまかり着きたりけるに、雪降り、嵐激しく、ことのほかに荒れたりけり、いつしか衣川見まほしくて、まかり向かひて見けり、川の岸に着きて、衣川の城しまはしたる、事柄やう変はりて物を見る心地しけり、汀凍りてとりわき冴えければ」
十月十二日に平泉に着くと、雪が降り嵐が激しく、ひどく荒れた天気であった。早く衣川を見たくて出向き、川岸に着くと、衣川の城をめぐらしたさまが格別で、目を見張る思いがした。水際が凍って、とりわけ冷え込んでいたので詠んだ一首である。とりわけ心まで凍みとおるほどに冷えわたる、衣川を見にやって来たちょうど今日という日に、と詠む。
衣川は前九年の役の古戦場として知られる陸奥の歌枕で、平泉の藤原氏の拠点の近くにある。「衣」に「着る」を掛け、厳しい寒さと、念願の地に立った感慨とを重ねている。
初句「とりわきて」は、とりわけ、格別に、の意で、詞書の「とりわき冴えければ」を受けている。
二句「心も凍みて」は、心までも凍りつくように、の意である。
三句「冴えぞわたる」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「わたる」で結ぶ係り結びとなる。「わたる」は一面に冷えが広がる意で、川の縁語である。字余りとなり、三句切れとなる。
四句「衣川見に」の「衣川」は陸奥国の川で、歌枕である。
結句「きたる今日しも」の「きたる」は、「来たる」と、衣を「着たる」を掛けた掛詞で、「衣」の縁語である。「しも」は強意で、ちょうど今日、の意を表す。
さゆ:冷え込む、凍りつく
きたる:「来たる」と、衣を「着たる」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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名取川岸の紅葉の映る影は 同じ錦を底にさへ敷く
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たぐひなき思ひいではの桜かな 薄紅の花のにほひは