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都近き小野大原を思ひ出づる
柴の煙のあはれなるかな

歌の意味
都に近い小野や大原を思い出させる、柴を焼く煙のしみじみと哀れであることよ。
鑑賞
雑歌 1133

詞書「下野国にて柴の煙を見て」
 下野国で柴を焼く煙を見て詠んだ一首である。遠い東国で見る柴の煙が、都に近い小野や大原の炭焼きの煙を思い出させて、しみじみと哀れだ、と詠む。
 小野や大原は都の北郊の山里で、炭焼きの煙で知られ、本巻の第千四十七首でも大原の炭竈が詠まれている。旅先の煙に、親しい都の近郊の里を思い起こす心に、遠く都を離れた旅人の郷愁がにじんでいる。

 初句「都近き」は、都に近い、の意で、字余りとなっている。
 二句「小野大原を」は、都の北の山里の小野や大原を、の意で、炭焼きの里として知られる。
 三句「思ひ出づる」は、思い出させる、の意である。
 四句「柴の煙の」は、柴を焼く煙の、の意である。
 結句「あはれなるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。

をの:山城国の小野。炭焼きの里として知られた
作者
西行
出典
山家集
前の歌
たぐひなき思ひいではの桜かな 薄紅の花のにほひは
次の歌
風荒き柴の庵は常よりも 寝覚めぞものは悲しかりける