かかりける涙に沈む身の憂さを
君ならで又誰か浮かべん
- 歌の意味
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このように涙に沈む身のつらさを、あなたでなくて、ほかに誰が浮かび上がらせてくれるでしょうか。
- 鑑賞
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雑歌 1139
詞書は前の歌に続き「又、女房遣はしける」
前歌とともに讃岐の女房から送られてきた歌である。こうして涙に沈んでいる身のつらさを、あなた以外の誰が救い上げてくれるだろうか、と、西行への頼みを重ねている。
「沈む」と「浮かべ」の対比を用い、涙の海に沈む身を救い上げてほしいという切なる願いを表している。「浮かぶ」には、苦しみから救われる意と、成仏する意とが重なっている。次の第千百四十一首の西行の返歌がこれに対応する。
初句「かかりける」は、このようである、の意で、現在の悲しい境遇を指す。
二句「涙に沈む」は、涙の海に沈む、の意で、悲しみに沈み込むさまを表す。
三句「身の憂さを」は、我が身のつらさを、の意である。
四句「君ならで又」は、あなたでなくてほかに、の意である。
結句「誰か浮かべん」の「か」は反語の係助詞で、連体形「ん」で結び、誰が浮かび上がらせようか、あなたしかいない、と結ぶ。「浮かぶ」は「沈む」の対で、救われる、成仏する意を含む。
うかぶ:沈んだものを浮かび上がらせる。救われる意を含む
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いとどしく憂きにつけても頼むかな 契りし道のしるべ違ふな
- 次の歌
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頼むらんしるべもいさや一つ世の 別れにだにも惑ふ心は