さりともとなほ逢ふことを頼むかな
死出の山路を越えぬ別れは
- 歌の意味
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それでもいつかはと、やはりまた会えることを頼みに思うことよ。死出の山路を越えて行くのではない、この世での別れであるからには。
- 鑑賞
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雑歌 1142
詞書「遠く修行する事ありけるに、菩提院の前の斎宮に参りたりけるに、人々別れの歌仕うまつりけるに」
遠く修行の旅に出ることになり、菩提院の前斎宮のもとへ参上したとき、人々が別れの歌を詠んだ折の一首である。それでもいつかはと、やはり再会を頼みにする、死出の山路を越えるのではない、この世での別れなのだから、と詠む。
死別ではなく生き別れであることに望みをつなぎ、別れの悲しみを和らげようとする心である。修行の旅は命の保証のないものであったが、だからこそ「死出の山路」を持ち出して、それではないのだからと自らにも人々にも言い聞かせている。
初句「さりともと」は、そうではあってもいつかはと、の意である。
二句「なほ逢ふことを」は、やはり再び会うことを、の意である。
三句「頼むかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、三句切れとなる。
四句「死出の山路を」の「死出の山」は、死者が冥土へ行く途中に越えるという山である。
結句「越えぬ別れは」は、越えるのではない別れであるからには、の意で、倒置によって再会を頼む理由を示している。
しでのやま:死者が冥土へ行く途中に越えるという山
さきのさいくう:前の斎宮。伊勢神宮に仕えた皇女で、退下した人
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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流れ出づる涙に今日は沈むとも 浮かばん末をなほ思はなん
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この春は君に別れの惜しきかな 花の行方を思ひ忘れて