よよ経とも竹の柱のひとすぢに
立てたるふしは変はらざらなん
- 歌の意味
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幾世を経ても、竹の柱がまっすぐ一筋に立っているように、ひたすらに立てたその節、志は変わらないでほしい。
- 鑑賞
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雑歌 1147
詞書「世遁れて嵯峨に住みける人のもとにまかりて、後の世の事怠らず勤むべきよし、申して帰りけるに、竹の柱を立てたりけるを見て」
出家して嵯峨に住んでいる人を訪ね、後世のための勤めを怠らないようにと言って帰るときに、その庵に竹の柱が立っているのを見て詠んだ一首である。幾世を経ても、竹の柱がまっすぐ一筋に立っているように、ひたすらに立てたその志は変わらないでほしい、と詠む。
竹の柱の「よ」「ふし」「一筋」に、世々、志、ひたすらの意を重ね、仏道への志を貫いてほしいという励ましを込めている。竹にまつわる言葉を巧みに連ねた機知の歌である。
初句「よよ経とも」の「よよ」は、幾世もの意の「世々」と、竹の節と節の間をいう「節」とを掛けた掛詞である。「とも」は逆接の仮定条件である。
二句「竹の柱の」は、庵に立てた竹の柱の、の意である。
三句「ひとすぢに」は、竹の柱がまっすぐ一本である意と、ひたすらに、の意を掛けている。
四句「立てたるふしは」の「ふし」は、竹の「節」と、志、心の節操の意を掛けた掛詞である。
結句「変はらざらなん」の「なん」は他者への願望の終助詞で、変わらないでほしい、と結ぶ。
よよ:幾世もの意の「世々」と、竹の節間をいう「節(よ)」を掛ける
ふし:竹の「節」と、志、節操の意を掛ける
ひとすぢ:一本である意と、ひたすらの意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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竹の音も荻吹く風の少なきに たぐへて聞けばやさしかりけり
- 次の歌
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あはれたる草の庵の寂しさは 風よりほかに訪ふ人ぞなき