あはれなりよりより知らぬ野の末に
鹿を友に馴るる住みかは
- 歌の意味
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しみじみと哀れなことだ。時折にも人の知らない野の果てで、鹿を友として馴れ親しむ住みかは。
- 鑑賞
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雑歌 1149
詞書は前の歌に続き「題しらず」
しみじみと哀れなことだ、時折にさえ人の知ることのない野の果てで、鹿を友として馴れ親しむ住みかは、と詠む。
前歌が風だけが訪れる庵を詠んだのに続き、本歌は鹿だけを友とする野の住みかを詠んでいる。人の訪れのない孤独と、自然の生き物との親しい交わりとが、ともに描かれている。
初句「あはれなり」は、しみじみと哀れである、と言い切る初句切れである。
二句「よりより知らぬ」の「よりより」は、時々、折々の意で、時折にも人に知られない、の意を表す。
三句「野の末に」は、野の果てに、の意である。
四句「鹿を友に」の「鹿」は、本文に「かせき」とあり、鹿の古称である。
結句「馴るる住みかは」は、親しみ馴れる住みかは、の意で、倒置によって哀れの対象を示している。
かせぎ:鹿の古称
よりより:時々、折々
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あはれたる草の庵の寂しさは 風よりほかに訪ふ人ぞなき
- 次の歌
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山水のいつ出づべしと思はねば 心はそくてすむと知らずや