今日もまた松の風吹く岡へ行かん
昨日涼みし友に逢ふやと
- 歌の意味
-
今日もまた、松風の吹く岡へ行こう。昨日ともに涼んだ友に会えるだろうかと。
- 鑑賞
-
雑歌 1152
詞書「木陰納涼と云ふ事を人々よみけるに」
人々が「木陰の納涼」という題で歌を詠んだ折の一首である。今日もまた松風の吹く岡へ行こう、昨日そこでともに涼んだ友にまた会えるだろうかと、と詠む。
夏の木陰の涼しさと、そこで出会った友との交わりとを重ね、涼を求める心と人を慕う心とを一つにしている。軽やかで親しみのある一首である。
初句「今日もまた」は、今日もまた昨日と同じように、の意で、結句の「昨日」と対応している。
二句「松の風吹く」は、松を吹く涼しい風の吹く、の意である。
三句「岡へ行かん」の「ん」は意志の助動詞で、行こう、の意を表し、字余りで三句切れとなる。
四句「昨日涼みし」は、昨日涼んだ、の意である。
結句「友に逢ふやと」の「や」は疑問で、友に会えるかと、の意を表し、倒置によって行く目的を示している。
すずむ:涼をとる
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
影薄み松の絶え間を漏り来つつ 心細しや三日月の空
- 次の歌
-
さし来つる窓の入日をあらためて 光をかふる夕月夜かな