忌むと言ひて影に当たらぬ今宵しも
われて月見る名や立ちぬらん
- 歌の意味
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不吉だと忌んで月の光に当たらない今夜に限って、無理に月を見る者だという評判が立ってしまったろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1154
詞書「月蝕を題にて歌よみけるに」
月蝕を題にして歌を詠んだ折の一首である。人々が不吉だといって月の光に当たらないようにしている今夜に限って、あえて無理に月を見る者だという評判が立ってしまったろうか、と詠む。
月蝕は凶事として忌まれ、その光に当たることを避ける風習があった。月を愛するあまり、その禁忌さえ破って月を見てしまう自分を、軽いユーモアをもって描いている。「われて」には、強いて、の意とともに、月が欠ける月蝕の様子も響いている。
初句「忌むと言ひて」は、不吉だと忌み避けて、の意で、字余りとなっている。
二句「影に当たらぬ」は、月の光に当たらない、の意である。
三句「今宵しも」の「しも」は強意の副助詞で、ほかでもない今夜に、の意を表す。
四句「われて月見る」の「われて」は、無理に、強いて、の意で、月が割れ欠ける月蝕の意も響かせている。
結句「名や立ちぬらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」で結び、評判が立ってしまったろうか、と結ぶ。
われて:無理に、強いて
げつしよく:月蝕。凶事として忌まれた
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さし来つる窓の入日をあらためて 光をかふる夕月夜かな
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大原は比良の高嶺の近ければ 雪降るほどを思ひこそやれ