ひとすぢにいかで杣木の揃ひけん
偽り作る心たくみに
- 歌の意味
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どうしてこうも一筋に杣木がそろったのだろう。偽りを作り上げる、心の巧みな細工によって。
- 鑑賞
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雑歌 1161
詞書「人あまたして、一人に隠して、あらぬさまに言ひなしける事の侍りけるを聞きて、よみける」
大勢の人が示し合わせて、一人にだけ隠して、事実と違うように言いつくろったことがあったと聞いて詠んだ一首である。どうしてこうもそろって一筋に口裏が合ったのだろう、偽りを作り上げる心の巧みな細工によって、と詠む。
口裏を合わせる人々を、きれいにそろえられた杣木、すなわち材木にたとえ、それを細工する「心たくみ」、心の工匠という表現で皮肉っている。杣木、作る、たくみと、木工にまつわる言葉を連ねた諷刺の歌である。
初句「ひとすぢに」は、一列にそろって、一様に、の意で、杣木がそろうさまと、口裏がそろうさまとを重ねている。
二句「いかで杣木の」の「いかで」は、どうして、の意で、「杣木」は杣山から切り出した材木である。
三句「揃ひけん」の「けん」は過去の原因推量の助動詞で、そろったのだろう、の意を表し、三句切れとなる。
四句「偽り作る」は、偽りを作り上げる、の意で、「作る」は木工の縁語である。
結句「心たくみに」の「たくみ」は、巧みな工夫の意と、大工の「工匠」の意を重ね、倒置によってそろった理由を示している。
そまぎ:杣山から切り出した材木
たくみ:巧みな工夫。大工、工匠の意を重ねる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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鹿の立つ野辺の錦の切れ端は 残り多かる心地こそすれ
- 次の歌
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我がために辛き心をみなつきの 手づからやがて祓へ捨てなん