強く引く綱手と見せよ最上川
その稲舟のいかり納めて
- 歌の意味
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強く引く引き綱であると示してください、最上川の、その稲舟の錨を引き上げて、怒りをおさめて。
- 鑑賞
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雑歌 1164
詞書「御返し奉りける」と記され、「かく申したりければ、許し給ひてけり」と注記がある。
前歌の崇徳院の御製に対して西行が奉った返歌である。私の願いを、稲舟を強く引く綱と思し召して、その稲舟の錨を引き上げ、お怒りをおさめてください、と応えている。左注には、このように申し上げたところ、院はお許しになった、とある。
院の歌の「最上川」「稲舟」「いかり」をそのまま用いて、錨を「下ろす」に対して「納める」と返し、怒りをおさめるよう願う機知に富んだ返歌である。院の勘気を解いた西行の歌の力と、崇徳院との親しい関係とがうかがえる。
初句「強く引く」は、強く引き上げる、の意で、前歌の「引くらん」を受けている。
二句「綱手と見せよ」の「綱手」は舟を引く綱で、私の願いをその綱とご覧ください、の意を表す。
三句「最上川」は、前歌の初句をそのまま受けている。
四句「その稲舟の」は、院の歌に詠まれたその稲舟の、の意である。
結句「いかり納めて」の「いかり」は、「碇」と「怒り」を掛けた掛詞で、碇を納めるように怒りをおさめて、の意を表す。
つなで:舟を引く綱
いかり:船の「碇」と「怒り」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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最上川なべて引くらん稲舟の しばしがほどはいかり下ろさん
- 次の歌
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磯菜摘む海人のさをとめ心せよ 沖吹く風に波高くなる