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磯菜摘む海人のさをとめ心せよ
沖吹く風に波高くなる

歌の意味
磯で海藻を摘む海人の少女よ、気をつけなさい。沖から吹く風に、波が高くなってくる。
鑑賞
雑歌 1165

詞書「屏風の絵を人々よみけるに、海の際に、幼く卑しき者のある所を」
 人々が屏風絵に歌を詠んだ折、海辺に幼い身分の低い子どもがいる場面を詠んだ一首である。磯で海藻を摘む海人の少女よ、気をつけなさい、沖から吹く風で波が高くなってきた、と呼びかけている。
 絵の中の少女に直接語りかける形をとり、絵の静止した場面に、風と波の動きと時間の流れを与えている。幼い者を気遣う温かいまなざしが感じられる一首である。次歌と同じ屏風絵を詠んだ一組である。

 初句「磯菜摘む」は、磯で海藻を摘む、の意である。
 二句「海人のさをとめ」の「さをとめ」は、若い娘、少女の意である。
 三句「心せよ」は、気をつけよ、の意で、命令形で呼びかける三句切れである。
 四句「沖吹く風に」は、沖から吹いてくる風によって、の意である。
 結句「波高くなる」は、波が高くなってくる、の意で、注意を促す理由を示している。

いそな:磯に生える海藻
さをとめ:若い娘、少女
作者
西行
出典
山家集
前の歌
強く引く綱手と見せよ最上川 その稲舟のいかり納めて
次の歌
磯による波に心のあらはれて 寝覚めがちなる苫屋形かな